板谷波山の香炉

文京区の高台にあるお宅はちょっぴり古めの平屋住宅、庭には当店得意の石灯篭がいくつもあります。お家の建て替えで灯篭はそのまま再利用するとのことです。「実は他の骨董屋さんを一度呼んだんです」と申し訳なさそうにおっしゃる奥様、立派なホームページだったので安心したらしいのですが相当嫌な思いをしたようです。「掛け軸や銀製品、お茶道具などは仕方なく売ってしまった」そうですが、先代から大事にするよう言い伝えられた品物だけは手放さなかったと。見せていただいたのは板谷波山の香炉、銀火屋は海野勝眠の作、ほれぼれするような立ち姿に一級品ならではの素晴らしい箱におさまっていました。話の成り行きで見せていただいた香炉は譲っていただけませんでしたが、手に取ってみることができたのは本当にうれしいことでした。先の骨董屋さんに売らなかった品々を一つ一つ拝見しお見積、「値段はともかく、最初からお呼びすれば良かったわ」と喜んでいいような、いけないような涙が出るようなお言葉。日々の買取りは予想できないシチュエーションがあり刺激的です。

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